チャージバックの反証審査はクレジットカード会社の無資格者による裁判官ごっごである

ただのエッセー

僕個人的な感想ですが、「チャージバック審査はクレジットカード会社の無資格者による裁判官ごっごである」という風に感じており、しかも劣化版であると感じています。これは単なる悪口ではなく、僕がそう思う理由をこれからしっかり述べたいと思います。

チャージバックについてもう少し知りたい方やチャージバックに対する反証について知りたい方は、「【経験談付き】チャージバックとは?仕組みと泣き寝入りしないための反証のやり方と詐欺を防ぐ方法」をご一読ください。

チャージバック審査はクレジットカード会社の無資格者による裁判官ごっごである

誤解がないように、先に断っておきますが、消費者保護を目的に作られたチャージバック制度自体は素晴らしいです。

取引には必ずトラブルが付きますので、立場的に(一般的に)比較的に弱い消費者が泣き寝入りしなくて済むように、クレジットカード会社がチャージバック制度を通じて消費者を保護するのは素晴らしいことです。

理想としては、です。

しかしながら、現実的に、とりわけ消費者保護法制がしっかり整備されている日本において、消費者は必ずしも事業者よりパワーが弱いとは限りませし、事業者も必ずしも規模が大きいとは限らないので、むしろ、事業者のほうのパワーが圧倒的に弱いこともよくあります。

それに加えて、チャージバック制度を悪用する輩の存在をも加味すると、チャージバック制度は果たして「弱者」を保護しているかと言えば、否であることは明らかです。

もちろん、クレジットカード会社が公正・公平であれば良いのですが、事実としてクレジットカード会社も営利組織であるため、自分の顧客に有利な判断をしがちなのもなんとなく理解できます。

しかし、実際の状況として、チャージバック制度の悪用により苦しんでいる事業者が少なくないのは否めない事実であり、また、チャージバック制度自体も明らかに理不尽な部分が少なくないのです。

僕がそう思う理由をこれからしっかり述べたいと思います。

チャージバックに対する反証のチャンスは1回だけ

日本の裁判制度は三審制を採用しているので、(第三審は法律審なので、多くの事件では実質上、第二審までしかいけませんが)3回のチャンスがあるわけです。

しかし、チャージバックへの反証は1回しかチャンスがありません。

ひどい場合はチャージバックの申請理由すら開示されない

しかも、チャージバックへの反証は1回しかチャンスがないのに、チャージバックの申請理由すら開示されないこともよくあります。

単に「チャージバックの申請があったので、認めるか認めまいかを言え」と連絡してきます。

チャージバックへの反証が1回しかチャンスがないのであれば、販売者(加盟店)もできるだけ周到に資料を用意し反論を試みます。

例えば、「商品が届いていない」ことが理由であれば、「商品を発送した」ことを証明することになりますが、「私は買っていない」という不正利用が理由の場合であれば、「カード所持者が実際に購入した」と証明しなければなりません。

しかし、チャージバックの申請理由が分からない状態ですと、具体的にどのように反論すればよいかわかりません。

チャージバックの申請理由が分からないとなると、販売者(加盟店)は、

  • カード所持者が実際に購入した
  • 商品もカード所持者が登録する住所へ発送した
  • 商品は不良品ではない

を全て証明することになります。

反証資料の提出期限は極めて短い

全てを証明しなければならなくても、それを用意する時間が与えられているのであれば良いのですが、チャージバックが申請されてから反証資料の提出締切まで、ほとんどの場合は1週間前後しかありません

弱者である小規模事業者に負担を強いるだけです。

日本の民事裁判でいうと、訴えられた側は、訴状を受け取ってから、裁判の期日までに答弁書を提出しなければなりませんが、基本的に1ヶ月以上の余裕はあります。しかも、「追って認否する」という、俗でいる「三行半答弁書」の提出が許されますので、実質上2ヶ月以上の余裕はあります。

というのも、初回の裁判の日にちは、被告の都合を聞かずに裁判所と原告が一方的に決めているからです。原告は色々準備してから提訴に踏み込むのですが、被告にとっては突然のことなので、まだ何も用意できていません(という理屈ですが、提訴予告を事前にされているケースもあるので、必ずしも”突然”だとは言い切れませんが)。

しかし、クレジットカード会社のチャージバック制度において、チャージバックが申請されてから反証資料の提出締切まで、ほとんどの場合は1週間前後しかありません

チャージバックが失敗しても理由は教えてくれない

チャージバック制度が理不尽だと思われている理由のもう一つとして、「チャージバックが失敗しても理由は教えてくれない」ことが挙げられます。

誤解を恐れずにいえば、それらしき理由はいちおう提供されるものの、実質上は「空っぽ」なのです。

例えば、「本人が購入したとは認められない」というように、「なぜ認められない」のではなく、「本人が購入したとは認められないので、本人が購入したとは認められない」というよう回答しか得られず、しかも、それ以上の情報は一切開示されません。

事業者は、商品代金も商品も失うというのに、このような理由では、事業者は到底納得するはずがありません。

裁判では、理由は必ず判決文に記載されます。納得できるかどうかは別として、理由はきちんと開示されます。

ここまで考えると、消費者と事業者との間のパワー云々より、むしろクレジットカード会社のほうのパワーを制限すべきであるとも思うようになります。

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