【経験談付き】チャージバックとは?仕組みと泣き寝入りしないための反証のやり方と詐欺を防ぐ方法

法律/法務

この記事は、チャージ バックを申請する個人向けではなく、事業を運営している方向けに、経験談を交えながら

  • チャージバックの仕組み
  • チャージバックへの対応

についてのノウハウを提供しています。

チャージバックとは?仕組みを分かりやすく教えて


チャージバックは、消費者を保護するために、カードでの取引に異議申立をできる制度です。

例えば、商品をクレジットカードで購入したとします。既にクレジットカードを決済したのに、商品が届かない場合や、届いた商品が破損したり不良品だったりします。通常はECサイトなど商品の販売者(加盟店)へ連絡し、発送を促したり、返金・返金を要求したりしますが、販売者(加盟店)は必ずしても対応してくれるとは限りません。

こういう時、消費者を救済してくれるのが、チャージバック制度です。

そればかりではなく、実際に使っていないのに、知らない間にクレジットカードが第三者に使われたという不正利用の時も、このチャージバック制度が役に立ちます

チャージバックを申請するには、クレジットカード会社に連絡して、「○○○という理由から、このカード決済を取り消したい」と取引に異議を申し立てれば良いです。

なお、この記事は事業運営者向けの記事なので、チャージバック申請のやり方については割愛させていただきますが、極めて簡単です。届いた商品が破損したり不良品だったりすると、それなりに説明を要しますが、商品が届かない場合は、ほぼ説明も要りませんし、とりわけ不正利用などの場合ですと、「私は使っていない」の一言だけで申請できてしまいます。

チャージバックの申請自体は簡単ですが、カード会社によって対応は異なるようです。

以前、業者から明確に返金の約束を受けたのに、待てど暮らせど一向に実行されなかったので、カード会社にチャージバックの申請をしようとしたところ、まさかの「相手との連絡が途切れていない状態では対応が難しい」という回答が。

チャージバックが発生したらどうなる?

チャージバックの発生すると、事業者側はそれを「受け入れる」か「反証」かをしなければなりません。

チャージバックのプロセス
  • 消費者
    消費者がチャージバックを申請

    消費者が取引に異議を申し立てて、チャージバックを申請する

  • カード会社
    カード会社からカード決済代行業者へ連絡

    クレジットカード会社はクレジットカード決済代行業者へ連絡する

  • 決済代行業者
    決済代行業者が加盟店へ連絡

    決済代行業者はチャージバックの申請があったことを加盟店へ連絡する。

  • 加盟店
    加盟店は「受入」か「反証」を決める

    加盟店はチャージバック申請を受け入れて返金するか、それを受け入れずに反論をするかを決める。

  • 加盟店
    反証資料を用意

    チャージバック申請を受け入れずに反論をするのであれば、「反証資料」を用意し、決済代行業者を通じてカード会社へ提出する。

  • カード会社
    反証資料を基に判断

    カード会社は反証資料をもとに、チャージバック申請が正当であるかどうかを判断する。

消費者が取引に異議を申し立てて、チャージバックを申請すると、カード会社は決済代行業者を通じて販売者(加盟店)へ「このような異議申立が来ているんだけど、どうなっているの?」と連絡します。

販売者(加盟店)は、それを受け入れるか、反論するかを選択することができます。受入を選択した場合、代金は決済代行業者=>カード会社=>消費者の流れで返金されます。反論を選択した場合、一回だけのチャンスがあり、それが「反証」と呼ばれるものです。

「反証」につきましては、後ほど詳しく解説しますが、結構な資料を用意しなければなりません。反証が成功すると、何もなかったのようになります(成功した旨の連絡すら来ません)。

カード会社の処理によって異なりますが、大体、何の連絡もなく、反証資料の提出後に45日間~60日間が経過していれば、反証成功と見なしてよいようです。

チャージバックの反証審査はブラックボックス作業となっており、経験上きわめて理不尽なことが多いです。僕は個人的に「チャージバック審査はクレジットカード会社の無資格者による裁判官ごっごである」と思っています。

その理由を以下の記事にて述べていますので、ぜひご一読ください。

チャージバックが成立すると加盟店が負担することに

一方で、反証が失敗すると、チャージバックが成立しますので、販売者(加盟店)にとって極めて大変なことになります。なぜならば、販売者(加盟店)は発送した商品と商品代金を失うことになるからです。

通常の取引では商品と引き換えに商品代金をもらいますが、チャージバックが成立すると、クレジットカード会社が販売者(加盟店)に対して「お宅はその商品代金をもらう資格はない」と、商品代金を取り上げます(厳密的にいうと、カード所持者へ返金します)。

しかも、商品は返してもらえません

つまり、チャージバックが成立すると、販売者(加盟店)は無料で商品を配ったことになるのです。

チャージバックへの対応~反証のやりかた

チャージバックが発生した際に、一回だけ加盟店に反論のチャンスが与えられます。既に触れましたが、これは「反証」といいます。反証では、「資料を用いて異議に対して異議を申し立てる」ことになります。

要するに、「俺はこの取引に納得していないからお金を払わない」という理不尽なひどい要求に対して、証拠としての資料を提出し、「ちゃんと取引が成立したので、お金払ってください」と証明することです。

具体的にどういう資料を用意すれば良いかというと、実は、ケースバイケースなのです。というのも、チャージバック申請の理由によって異なるからです。

例えば、「商品が届いていない」ことが理由であれば、「商品を発送した」ことを証明することになりますが、「私は買っていない」という不正利用が理由の場合であれば、「カード所持者が実際に購入した」と証明しなければなりません(この二つのケースにおいて用意すべき資料を後ほど解説します)。

このように、絶対提出しなければならない資料はなく、「これなら理不尽な要求を潰せる」と思う資料を提出することになります。

なので、普段から企業法務に携わっていない方だと、どう証明すればよいかがわからずに、惑ってしまうことが多いようです。

泣き寝入りしないための反証資料(例)

イメージをより掴めていただくために、比較的に分かりやすい例を用いて、用意すべき資料を解説します。

商品を発送したのに、「商品が届いていない」とチャージバックが申請された際、

  • 配送伝票
  • 送り状番号
  • 配達状況のページ

など、発送状況がわかる資料を提出するのが一般的ですが、それだけでは不十分で、できれば、物流会社にお願いして判取証明を発行してもらうようにしましょう。如何せん、反証は1回しかできませんので、「発送した」だけではなく、「届いた」ことまで証明しましょう。

なお、チャージバックが成立するか否かはカード会社の裁判官ごっご次第なので、同じ状況において同じ資料を提出しても反証が成功するとは限らないことをご了承ください。

チャージバックを悪用したケース

本来ならば、チャージバック制度は消費者を保護するための制度ですが、

  • チャージバックの申請が簡単
  • 加盟店はチャージバック申請を拒否できない
  • チャージバックが発生すると加盟店は大量な資料を提出しなければならない
  • チャージバックが成立すると、消費者は無料で商品をもらえることになる

なので、残念ながら、この制度を悪用した詐欺も後を絶たないのです。また、詐欺でなくても、「とりあえずチャージバックを申請してみる」という輩もいます。

まずいくつかの例を見て行きます。

不良品だと言い張るタイプ

「商品が届いていない」という理由なら、既に「泣き寝入りしないための反証資料」で触れたように、

「発送し届いた」ことは証明できますが、破損、不良品などの場合だと、「破損していない」、「不良品ではない」ことを証明することになりますので、難しいです。

なお、噂によれば、クレジットカード所持者に有利な判断が下されることが多いようです。

発送コストを抑える場合も要注意

例えば、定形外郵便など配送状況の追跡ができない方法で発送した場合、「商品が届いていない」という理由でチャージバック申請されたら、反証するための証拠がないので、泣き寝入りするしかありません

中身が足りないというクレーム

事前に加盟店への連絡や交渉もなく、「中身が足りない」という理由でいきなりチャージバックを申請するケースもあります。

しかも、こういうケースだと、「加盟店と連絡は取れない」と嘘をつくことも多いようです。相手からの連絡があり、こちらがそれに対応したのであれば、きちんとした証拠を出せますが、そもそも相手からの連絡もないのに、証明するすべはありません。

このパターンもやはり泣き寝入りするしかありません

チャージバック制度を悪用した詐欺

これより厄介なチャージバック詐欺はないと言っても過言ではありません。

いちおう、防ぐ方法も回避する方法もあり、反証もできますが、後ほど見ていくように、加盟店は仕組み上に対応できないこともあります。

チャージバック制度を悪用した詐欺の手口

このチャージバック制度を悪用した手口はこうです。

  1. クレジットカードで商品を買う
  2. 届け先は自宅への直送ではなく、一回どこかで転送
  3. 送付先の名義も偽名
  4. カードの明細に反映されるのを待つ
  5. カード会社に「不正利用された」と連絡する

こうすることで、チャージバックの申請が成立し、加盟店は色々証明しなければならい羽目になります。

加盟店が提出すべき反証の資料

不正利用を理由にチャージバックが申請された際、加盟店側は、クレジットカード所持者本人が実際に決済を行ったことを証明しなければなりませんので、一般的には

  • 決済を行ったのはAである
  • Aはクレジットカードの所持者である
  • ゆえに、実際に決済を行ったのはクレジットカードの所持者である

という風に証明していきますが、とりわけ決済を行った人の特定は実に困難です。

うちの経験談になりますが、サブスクリプションのウェブサービスを提供しているうちも、実はこういうチャージバック制度を悪用した詐欺に何回も遭遇しています。無形商品ゆえに証明も難しいものの、ネット屋だからこそ対応できる部分もあります。最後に詳しく紹介します。

最終的にどうなる?

結局、加盟店が出せる資料としては、送付先の住所、名義などになりますが、当然にそれが一致せずに、「ほら本人じゃないじゃん」と不正利用が認められ、商品も商品代金も騙し取られることになります。

回避する方法はないか?

本人確認制度を導入すれば、いちおう、万が一チャージバックが申請された際は、身分証明書などを資料として提出できますが、全ての取引において、

  1. 送付先の住所と名義
  2. 本人確認の住所と名義
  3. クレジットカード名義

この3つが一致しているかどうかの確認をしない限り、あまり意味はありません。

チャージバックが認められたら裁判で取り戻せる?

反証に失敗し、チャージバックが成立すると、商品と商品代金を失うことになりますが、最後の挽回策としては「裁判」です。

裁判を起こすことはできる

取り戻せるかどうかはわかりませんが、訴訟を提起すること自体はできます。

しかも、裁判ともなれば、クレジットカード会社の裁判官ごっごではなく、本物の裁判官がジャージすることになります。

しかも、明らかに制度を悪用しているケースにおいても、クレジットカード会社は消費者に有利な判断を下すことはあっても、公正な司法制度のもとで、そういうことにはなりません

本人訴訟が現実的

ブランド品など高価なモノを除けば、金額はさほど高くないので、引き受ける弁護士はほとんどいないと思われますし、引き受けてくれる弁護士がいても、費用倒れになる恐れもあります。そのため、弁護士に依頼せずに、本人訴訟が現実的でしょう。

本人訴訟も実は思うほど難しくありません。書類はネット上でひな形が公開されており、裁判所は手続きの流れを案内してくれたり、提出前に書類をチェックしてくれたりします。弊社は金額に関わらず、裁判を起こす必要があれば提訴するスタンスなので、また別の記事で経験談を共有できればと思います。

裁判を起こす際の懸念点とハードル

だた、このようなケースにおいて訴訟を提起するにあたって一つの懸念点があります。

裁判を起こすには、相手の所在地を特定する必要がありますので、本人確認などで住所を把握しているなら別ですが、そうでない場合は、住所不明で裁判を起こすこともできなくなります。

うちのチャージバック対応・反証の経験談

最後に、実際のチャージバックの対応と反証の経験を共有できればと思います。

これまで、幾度もチャージバックが申請され、反証をしました。そのほとんどが、先ほど触れた「不正利用」を口実にした詐欺です。既に伝えた通り、クレジットカード所持者本人が実際に決済を行ったことを証明しなければなりませんが、これが実に困難です。

とりわけ、弊社はサブスクリプションのウェブサービスを提供しているため、何かを発送した、提供したことを(本来ならば)なかなか証明できません

これに目を付けた詐欺師たちは、サービスを利用してから、「カードを使っていない」とチャージバックを申請してきます。

しかし、弊社はレンタルサーバーではなく、AWSを使っているので、生のアクセスログを全て保有しています。また、電話認証と本人確認制度を立ち上げ当初から導入しているので、電話番号と身分証明書も保有しています。

簡単に言うと、弊社は何でも保存しているので、証拠を結構大量に出すことができます。

言ってみれば、

  • 電話認証で使った電話番号
  • 電話認証を行った時のIP
  • 電話認証を行った時に使った端末情報
  • 提出した身分証明書
  • 身分証明書を提出した時のIP
  • 身分証明書を提出した時の端末情報
  • 身分証明書の名義と住所
  • 決済をした時のIP


が全部そろっているので、これらを反証資料として提出しています。また、IPが変わっていたりする場合も、端末情報などで同一人物であることに繋げて行きます。

ここまでくる、身分証明書、携帯電話、クレジットカード、パソコンが同時に盗用されたというシナリオでない限り、クレジットカード所持者本人が実際に決済を行ったことが証明されます

ただ、これだけ提出しても、「チャージバックの反証審査はクレジットカード会社の無資格者による裁判官ごっごである」ので、チャージバックの反証に失敗することもあります。それを裁判まで持ち込んだ事例をまた別の機会で共有できればと思います。

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