最近、この記事には「ハウスポート やばい」という検索ワードからのアクセスが急に増えているようです。
恐らくですが、ハウスポートで部屋を借りたものの何らかのトラブルで不満や怒りを抱いた人たちが、「ハウスポートは悪徳業者だ」「詐欺だ」と声を上げたいがために、同じような意見を見つけて安心しようとしたり、自分の行為を正当化しようとして検索しているのではないかと推測しています。
しかし、予め断っておきますが、この記事は「ハウスポート」についてではなく、かつて存在した「スマイルサービス」に関する記事です。スマイルサービスがその後ハウスポートになったという話もあるようですが、確信はありません。
しかも、この文章はスマイルサービスをむしろ肯定的に評価する立場で書かれています。
したがって、「ハウスポートを叩く仲間探し」のために来られた方は、気分を害するおそれがあるので、読まないでいただきたい。
スマイルサービスとは
かつて、新宿にはスマイルサービス(バジリカ)という「賃貸不動産仲介会社」がいました。
すべての物件は
- 自社物件
- ゼロゼロ物件
でした。
自社物件(厳密にいえば、関連会社?が所有しており、スマイルサービスは対顧客窓口)ゆえ、申し込みから入居までの期間が極めて短く、また、すべてがゼロゼロ物件なので、借り手が用意する初期費用も少額で済むため、いわば、住居を急に失った人や金銭的に余裕のない人にとっては、非常にありがたい存在でありました。
僕がスマイルサービスを知ったのは、実際に知り合いが何人かがお世話になっていたからです。
中には、何等かの理由で人生の歯車が狂ってしまったけど、再起を図るべく、漫喫で寝泊まりながら、日払いの肉体労働で稼いだ日銭を貯めてから、スマイルサービスで安定した居場所を手に入れた人もいれば、
交際相手もしくは配偶者からのDVを逃れるために家出を余儀なくされたい人もいます。
これらの人に対して、無職でも連帯保証人を用意せずに、ほぼ1ヶ月分の家賃だけで安定した住居を提供するのがスマイルサービスでした。
その一方で、このような状況や事情がある人は、当然に「家賃を支払わなくなる」リスクも高くなります。中には、何らかの事情でまた支払えなくなる人もいれば、故意的に支払わない人もいるでしょう。
1.2ヶ月の家賃滞納だけでは借主を立退させることができないという借り手側が圧倒的に優位な日本において、スマイルサービスがこうしたリスクを回避するために行った対策は、
我々は部屋を貸しているのではなく、部屋の鍵レンタルビジネスをしている
ことでした。
要するに、賃貸借契約ではなく施設付鍵利用契約だということです。
そのため、1日でも家賃を延滞をしてしまうと、すぐに家の鍵が交換され、滞納した分の家賃に加え、(確かに)鍵交換費用を支払うまで、家を追い出されることになります。
一見、法の抜け穴をかいくぐるような行為だという風に見ることもできるのですが、しかし、審査・連帯保証人・敷金礼金不要で貸している以上、スマイルサービスはこうでもしなければ、そもそも商売が成立しません。
もっとも、スマイルサービスでお世話になっている人も、ほかのところでは部屋を借りれない人がほとんどです。
実際に、そうでない人もいます。
僕の知り合いの中には、海外に移住して日本に住居を持っていないものの、たまに一時帰国して、数ヶ月間日本に滞在する人もいます。
ホテルだとどうしても生活感がなく無機質になりがちですし、費用もかさみます。家具付きのマンスリーマンションも、数ヶ月の長期滞在となると、かなりの金額になってしまいます。
スマイルサービスの物件には家具付きも多く、コストパフォーマンスの面でもホテルやマンスリーマンションよりはるかに優れていました。
法律上、金利の制限はあるのですが、貸倒のリスク(回収できないリスク)が高ければ高いほど、金利も高くなります。
銀行からお金が借りれない人は、金利の高いところから借りるしかありません。
お金が必要な時に「金利はいくらでも大丈夫だから貸してください」と頭を下げているのに、現ナマが手元に入るや否や、「お宅、その金利だと高利貸だよね。違法だから払う義務はないよ」と態度が豹変するやつは、僕に言わせりゃ、人間として終わっています。
スマイルサービスから借りるときも、「1日でも家賃を延滞をしてしまうと、すぐに家の鍵が交換される。家賃と鍵交換費用を支払う必要がある」という条件に同意したはずです。
しかも、事前に「家賃の支払いが2日間遅れる」という連絡をすれば、スマイルサービスも確かに、そこまでシビアに執行していたわけではありません。
鍵を交換すること自体にコストが発生するし、鍵交換費用を請求するとは言え、そもそも支払ってもらえない可能性も大。
実際に追い出そうとすれば、荷物の処理にも結構なコストがかかります。
僕が以前、管理会社の人間から聞いた話なのですが、家賃滞納している借り手を賃貸物件から追い出したいときは、
「○○○までに支払わないと追い出す」
と警告するより
「もう滞納した家賃も要らないから、○○までに出ててほしい」
のほうがスムーズにいくそうです。
払えるような状況なら既に払っているので、それをずっと払っていないことに鑑みると、恐らく結構切羽詰まった状態だと思料できます。
そのような状態で「○○○までに支払わないと追い出す」と言われると、夜逃げをするしかありません。
そうなってくると、家賃はもちろん支払ってもらえないし、価値あるものだけ持って夜逃げをするので、大量なゴミと不要品が残ってしまい、処理費用がかなりかさむそうです。
一方、「もう滞納した家賃も要らないから、○○までに出ててほしい」と言われると、罪悪感からなのかわかりませんが、ほとんどの人は家をキレイにしてから出ていくそうです。
ですから、スマイルサービス(スマイルサービスに限らずだが)にとって、一番良いのは、皆が約束を守り、期日内にきちんと家賃(代金)を支払ってくれること。しかも、それはごく当たり前なことでもあります。
きちんとした人間であれば、事前に同意したのにも関わらず、自分の都合で家賃が支払えなくなると「スマイルサービスのそんな条項は不当だ!」なんてと叫び出さないはずです。
ところが、世の中にはきちんとしていないやつが意外と多くて、なんとスマイルサービスに対して訴訟を起こし、「スマイルサービス闘争を支援する会」という団体まで結成してしまいました。
いくつかの裁判が起こされており、最終的に裁判所もいくつかの判断を下した中、詳細は割愛しますけれども、スマイルサービスが全面敗訴というわけでもなかったようですが、
確かに「賃貸借契約ではなく施設付鍵利用契約」だという主張について、裁判所は「いや、実質的に賃貸借契約だから、それは無理があるな」と認められなかったようです。
貧困ビジネスの是非に考えを巡らせてみました
司法がそう判断したことから、貧困ビジネスに対して、考えを巡らせてみました。
貧困ビジネスは、今はネガティブなイメージで語られることが多くなったというか、ネガティブワードとして使われるようになりましたが、しかし、この用語は、もともとは、「だれにも相手にされていない貧困層の問題を解決するビジネス」として使われていました。
例えば、貧困層はお金が借りられないので、起業したくてもできません。そこで、マイクロファイナンス機関というのが出てきました。実際、海外においては、いまだにポジティブワードとして取り扱われることがほとんどであり、なぜか日本では、ネガティブなイメージが定着してしまいました。
そうさせたのは、立法の問題なのかもしれませんし、一部の悪徳業者がそう思わせてしまったのかもしれませんし、、あるいは、貧困ビジネスのターゲットである貧困層自身に問題があったのかもわかりません。
例えば、先ほどのマイクロファイナンス機関というのは、30%近くの金利を取っています。日本の上限金利のほぼ倍以上であることを考えると、信じがたいのかもしれませんが、しかし、回収できないリスクを背負うなら、その分のリターンを求めるのは当然です。
そもそも、いわゆる貧困ビジネスを行う事業会社は慈善団体ではありません。
もちろん、中には本当に悪徳な会社もいるとは承知しています。
しかし、それは一部である(それがどれくらいの割合なのかはわからないが)し、こうした貧困ビジネスを行う事業会社が存在しないと、そもそも、ターゲットたち(あえて貧困層とは言わないが)は、サービスすら受けられません。
スマイルサービスがなければ、そもそも住居すらないのと同様です。
このように、貧困層をターゲットにしたビジネスが、(ネガティブに語られている)貧困ビジネスだと批判され続ければ、正直、損をするのは、結局、貧困ビジネスのターゲット層(あえて貧困層とは言わないが)だけでしょう。
スマイルサービスの現在
ちなみに、スマイルサービスはその後、ハウスポートという名に変わったからとか、株式会社明和に変わったとか、依然として同じように営業しているというような情報はあるものの、いずれも10年以上前の情報でありましたので、現在どうなっているかは不明です。
ただ、ハウスポートに関して言えば、初期費用ゼロ円、外国人も歓迎を謳えているウェブサイトの存在は確認されています。


